航空英語における「via」の正しい理解
「via」という単語を聞いて、どのようなイメージを持つだろうか。何かのアイドルグループかパチンコ店のイメージなどは沸かないだろうか。
沸かないでほしい。
「via」とは日常英語では「through」や「by way of」と同じく「〜経由で」という意味で使われる。しかし航空英語においては、単なる通過ではなく「必ずその経路を通らなければならない」という強い指定の意味を持つ。しかもこの via は、飛行中のルート指定だけでなく、地上走行(Taxi)の場面でも頻繁に登場する。今回は航空英語における via の用法を整理し、訓練生が混乱しやすいポイントを解説していく。

Taxiでの via
まず、最も基本的な場面がTaxiである。グラウンドコントロールは、航空機を滑走路やスポットに誘導する際に「どの誘導路を経由するか」を明確に指示する。その際に登場するのが via だ。
重要なのは、viaは経由点の指定であり、その通りに動かなければならない という点だ。パイロットの判断で別の経路を選ぶことは許されない。
もし聞き逃した、あるいは経路指定が理解できなかった場合、どうすればよいか。大切なのは「勝手に進まない」ことである。まずは滑走路を出て停止線を越え、安全な位置で機体を止める。そして落ち着いて “Say again” とコールし、再度指示を受け直せばいい。訓練生にとって「聞き返す」ことは恥ずかしいことではない。むしろ安全確保のためには積極的に行うべき基本動作である。
Routeでの via
一般英語との比較
日常英語における via は through とほぼ同義である。“I went to Osaka via Kyoto.” といえば、「京都を経由して大阪に行った」という意味で、単なる通過を指す。しかし航空英語における via は、「through」に近い意味でありながら、必ずそのポイントを通ることを義務付けるニュアンスが強い。
つまり、学習の際には「via = must pass through」と理解しておくと誤解が少ない。
発音の違い
さらに注意したいのが発音である。地域によって via の発音が異なるのだ。
- ヴィア(/ˈviː.ə/):イギリス英語圏やヨーロッパで多く聞かれる。
- ヴァイア(/ˈvaɪ.ə/):アメリカ英語圏で一般的。
どちらも正しい発音であり、航空無線でも両方のパターンが存在する。そのため、訓練生は「聞き慣れない発音=別の単語」と勘違いしないように注意することだ。復唱(readback)の際は自分の慣れた発音で問題ない。ATCは意味を理解しているので気にする必要はない。
学びのポイント
結論
via は航空英語で非常にシンプルな単語でありながら、訓練生が混乱しやすい用語のひとつだ。Taxiでは誘導路を経由して進むことを示し、RouteではウェイポイントやSID/STARを経由することを示す。日常英語と同じ「経由して」ではあるが、航空英語では「必ず通れ」という義務のニュアンスを持つことを忘れてはならない。
聞き逃したら躊躇せず“Say again”。発音の揺れも含め、柔軟に理解して行動に移すことが、パイロットに求められる基本姿勢である。
参考サイト
航空英語「via」の理解を深めるための信頼できる外部リンク