ライトガン信号とは?

ライトガン信号とは?無線喪失時の“最後の通信”をICAO基準で解説

航空の世界で無線は前提だ。しかし現実には機材故障や電波障害で突然声が届かなくなることがある。通信が断たれたときに残される最後の手段が、管制塔から発せられるライトガン信号である。

ICAOが定める世界共通のルール

ライトガンは国際民間航空機関(ICAO)の基準により世界で統一されている。色は赤・緑・白の三色、パターンは点灯(steady)閃光(flashing)の二種類。意味は単純だ。

  • 緑=進め
  • 赤=止まれ
  • 白=戻れ(地上のみ)

このシンプルさが国や空港を問わず通用する安全の柱になっている。

ライトガン信号とは?

実体験:カリフォルニアでの無線喪失

実体験:カリフォルニアでの無線喪失

操縦免許取得直後、ナイトのクロスカントリーに出発した。離陸後に「Chino Tower, Cessna 123C, request left turn heading 210.」と送信したが、無線の音が普段と違う。周波数を切り替えても応答はなく、最後は雑音すら消えた。

無線が完全に死んだと判断し、トラフィックパターンの外へ出る。ただし管制塔から視認できる位置は確保する。ランディングライトを点け、管制塔に向けて数回蛇行して存在を示した。やがて管制塔からライトガンの点滅。こちらの意図を把握した合図だ。ランディングライトを点滅させて応答し、旋回を続けると緑の点灯が照射された。そのまま着陸した。

この経験で理解したのは二つ。第一に機体の構造を知っておくこと。どの灯火をどう使えば意思表示になるかを即時に操作できなければ意味がない。第二に最低限の明るさでも空港周辺を頭で描けること。夜間に無線が沈黙すれば、頼れるのは想像力と訓練だ。

ライトガン信号の意味(ICAO基準の要点)

  • 緑点灯:空中=着陸許可/地上=離陸許可/車両=進行許可
  • 緑閃光:空中=着陸してよい(正式許可ではない)/地上=地上走行許可
  • 赤点灯:空中=進入禁止/地上=離陸中止/車両=停止
  • 赤閃光:空中=空港不安全(着陸禁止)/地上=滑走路を直ちに離れよ
  • 白閃光:空中=使用しない/地上=出発地点へ戻れ

覚え方は単純でよい。点灯=継続閃光=新たな動作や警告。これだけで混乱は大きく減る。

受信側の応答

ライトガンは一方通行ではない。受け手も合図で返す。

  • 空中の航空機:翼を振る(wing rock)
  • 地上の航空機:ランディングライトを点滅
  • 車両:ヘッドライトを点滅

応答があって初めて、管制官は「伝わった」と確信できる。

ライトガン信号運用上の注意とよくある誤解

  • 昼間は光が見えにくい。夜間は逆に眩惑しやすい。役割分担と反復確認が必要だ。
  • 緑閃光=着陸許可と誤解しない。正式許可ではない。
  • 白閃光を空中で探さない。空中では使用しない。
  • 無線喪失時はトランスポンダ7600、既発出クリアランスの遵守、安全最優先で不明確なら復行する。

結論

ライトガン信号は原始的に見えるが、非常時の命綱である。赤・緑・白という単純な光に、世界共通の安全思想が凝縮されている。無線が沈黙した瞬間、光のルールを知っているか否かが、そのまま生死を分ける。
もしもの時に備えてマグライトのようなフラッシュライトを常に携行しておくことも大事だ。おすすめはSUREFIREである。

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