VFRの巡航高度|OddとEvenと+500ftのルール

VFRの巡航高度|OddとEvenと+500ftのルール

Aviation English

必ず聞かれるOddとEven

東は奇数、西は偶数に+500

オーラルで必ず聞かれる質問

クロスカントリーの計画を説明するオーラルで、ほぼ必ず聞かれる質問がある。

What altitude are you going to fly, and why?

高度の数字だけを答えても、答えにはならない。なぜその高度なのかを、向きと規則から説明できて初めて答えになる。その根拠になるのが、VFRの巡航高度のルール、つまりOddとEvenと+500ftの考え方だ。

現場から一言

訓練生を見ていると、とにかく「IFRが偉い」と勘違いしている人が実に多い。計器飛行の資格を取れば一人前で、VFRはその手前の段階だ、という捉え方だ。

しかし、エアラインであろうと、チャーター会社であろうと、Medevac(救急搬送)であろうと、基本はVFRだということを忘れてはいけない。VFRの規則と判断を確実に身につけた上に、IFRが積み上がっていく。

この記事で押さえること

→OddとEvenと+500ftのルール
→なぜVFRは+500ftなのか
→基準は磁方位のトラック、地上3,000ftを超えたら適用
→ICAO・FAA・TCの比較と、オーラルでの答え方

OddとEven|東は奇数、西は偶数に+500

VFRで水平に巡航するときの高度は、進む方向で決まる。ICAOが定める巡航高度の表は、方向を東向きと西向きの2つに分け、千の位を奇数(Odd)と偶数(Even)に振り分けている。VFRは、そこに500ftを足す。

進む方向(磁方位のトラック) 千の位 VFRの巡航高度
000°〜179°(東向き) Odd(奇数)+500 3,500 / 5,500 / 7,500 / 9,500ft…
180°〜359°(西向き) Even(偶数)+500 4,500 / 6,500 / 8,500 / 10,500ft…

覚え方として広く使われているのが、East is Odd, West is Evenだ。東は奇数、西は偶数。VFRなら、そこに+500。

見るのは「千の位」

よくある混乱が、「3,500ftは、3も5も奇数だから東向き?」「4,500ftは4が偶数で5が奇数だから、どっち?」というものだ。見るのは千の位だけだ。500は、VFRであることを表す印にすぎない。

5,500ft 千の位は5(Odd)→ 東向き(000°〜179°)
6,500ft 千の位は6(Even)→ 西向き(180°〜359°)

いつ適用されるか

このルールは、どの高さでも適用されるわけではない。FAAもTCも、VFRで地上から3,000ftを超えて、水平に巡航するときに適用するとしている。

→上昇中・降下中は対象外。水平に巡航しているときの話だ
→基準は地上からの高さ(AGL)。選ぶ高度は海面からの高さ(MSL)
→管制から別の高度を指示された場合は、その指示に従う

「AGLで条件を確かめ、MSLで高度を選ぶ」。この2つの基準が同じルールの中に出てくるのが、巡航高度のややこしいところだ。標高の高い地域では、MSLで3,500ftでも、地上からは3,000ftに届かないことがある。

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出典:Table of cruising levels(ICAO Annex 2の表を採用したEU規則 SERA Appendix 3)/14 CFR §91.159/CARs 602.34

なぜVFRは+500なのか

OddとEvenは、VFRだけの決まりではない。IFRも同じように、東向きは奇数、西向きは偶数の千ftで飛ぶ。違いは、IFRは千ちょうど、VFRはそこに+500という点だ。

表の高度を、下から順に並べてみる。

7,000ftIFR|東向き(Odd)
6,500ftVFR|西向き(Even+500)
6,000ftIFR|西向き(Even)
5,500ftVFR|東向き(Odd+500)
5,000ftIFR|東向き(Odd)
4,500ftVFR|西向き(Even+500)
4,000ftIFR|西向き(Even)
3,500ftVFR|東向き(Odd+500)

CARs 602.34の巡航高度の表をもとに作成。

並べると見えること

① 向かい合う機体は、高さがずれる

東向きのVFR(5,500ft)と西向きのVFR(4,500ftや6,500ft)は、1,000ft離れる。正面から向かってくる機体と、同じ高さで鉢合わせしにくい配置になっている。

② VFRとIFRは、500ftずれる

+500があることで、VFRの機体はIFRの高度の間に入る。千ftごとの高度にはIFR、その間の500ftにはVFR、という住み分けができる。

③ 管制がいなくても、すれ違える

このルールは、管制から高度を指示されていないときに働く。レーダーで誘導されていなくても、全員が同じ決まりで高度を選べば、反対向きの機体とは高さがずれた状態ですれ違える。管制に頼らず、基本の決まりをそろえることで安全を確保する。それが、このルールの考え方だ。

オーラルで「なぜ+500なのか」と聞かれたら、この3つで答えられる。向きで高さを分け、VFRとIFRの間にも高さの差を作り、管制がいなくても安全にすれ違えるようにするためだ。

英語の例文

The extra 500 feet keeps VFR traffic between the IFR altitudes, and the odd and even rule separates aircraft flying in opposite directions.

+500ftによって、VFRの機体はIFRの高度の間に入る。そしてOddとEvenのルールが、反対向きに飛ぶ機体の高さを分ける。

POINT

このルールは、衝突の可能性を減らすための仕組みであって、見張りの代わりにはならない。上昇中や降下中の機体、ルールの対象外の高さを飛ぶ機体もいる。VFRの基本は、自分の目で見て避けることだ。

基準は「磁方位のトラック」

東向きか西向きかを決めるのは、機首が向いている方向ではない。実際に進んでいく方向(トラック)を、磁方位で見たものが基準になる。ここを取り違えると、OddとEvenを逆に選んでしまう。

落とし穴① ヘディングで決めてしまう

風があれば、機首の向き(ヘディング)と実際に進む方向(トラック)はずれる。境目の180°近くを飛ぶときに、これが効いてくる。

項目 方位 これで決めると
磁方位のトラック 175° 東向き → Odd+500(正しい)
西からの風で修正したヘディング 185° 西向き → Even+500(誤り)

数字は説明のための作例。

落とし穴② チャートの真方位のまま決めてしまう

セクショナルチャートにプロッターを当てて測るコースは、真北を基準にした真方位だ。ここに偏差(Variation)を加減して、初めて磁方位になる。

項目 方位 これで決めると
チャートで測った真方位 185° 西向き → Even+500(誤り)
偏差12°Eを引いた磁方位 173° 東向き → Odd+500(正しい)

数字は説明のための作例。東偏差は引き、西偏差は足す(East is least, West is best)。実際の偏差は、チャートの等偏差線で確認すること。

どちらの落とし穴も、180°や360°(000°)の境目の近くで起きる。境目付近のコースを飛ぶときは、風と偏差を入れたあとの磁方位のトラックで、もう一度確かめる。

カナダ北部は真方位

カナダの規則(CARs 602.34)は、南部国内空域では磁方位、北部国内空域では真方位のトラックを基準にすると定めている。カナダで訓練し、北部へ飛ぶ機会がある場合は、どちらの空域を飛ぶのかを先に確認しておくこと。

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出典:CARs 602.34/14 CFR §91.159

ICAO・FAA・TCの比較

OddとEvenと+500ftの考え方は、ICAO・FAA・TCで共通している。違いが出るのは、適用される高さの上限や、方位の基準の細かい扱いだ。

項目 ICAO FAA TC
適用される場面 地面・水面から900m(3,000ft)を超えて水平巡航するVFR 地上から3,000ftを超えて水平巡航するVFR 地上から3,000ft AGLを超えて水平巡航するVFR
方位の基準 磁方位のトラック(緯度70°を超える極域などはグリッド方位) 磁方位のコース 南部国内空域:磁方位
北部国内空域:真方位
000°〜179° Odd(奇数)+500ft|3,500 / 5,500 / 7,500ft…
180°〜359° Even(偶数)+500ft|4,500 / 6,500 / 8,500ft…
表の上限 表は高い高度まで続く 18,000ft MSL未満。それ以上は管制が指示した高度 VFRの欄は17,500ft(東向き)・16,500ft(西向き)まで
主な例外 管制承認で別の指示がある場合、当局が別に定める場合 管制が別に認めた場合。2分以内の待機や旋回中 管制から別の高度を指示された場合。航空測量など

ICAOの欄は、ICAO Annex 2の規定と表を採用したEUの規則(SERA.5005(g)とAppendix 3)で確認した内容。ICAOの原文は、Annex 2で確認すること。

POINT

中心の考え方は3つとも同じだ。地上3,000ftを超えたら、東は奇数、西は偶数に+500。細かい扱いは国によって異なるため、訓練する国の規程で必ず確認すること。

出典:SERA.5005/SERA Appendix 3/14 CFR §91.159/CARs 602.34

実際の場面|ルート上に山があるとき

現場から一言

ルート上に2,000ftの山があるときも、巡航高度は原則として同じように+500ftになる。ここで間違ってはいけないのが、OddなのかEvenなのかだ。

PPLを取りたての人にもよく見られるのが、Highest ObstacleやMountain Peakの先端から500ftという考え方に縛られて、VFRの巡航高度のルールを忘れてしまうことだ。

「山+500」と「巡航高度の+500」は別物

2つの「500」が混ざると、こういう考え方になる。

よくある考え方:山が2,000ftだから、500ft足して2,500ftで飛ぶ

見落としていること:2,500ftは巡航高度の表にない。山の頂上を、わずか500ftで越えることにもなる

障害物からの高さには、巡航高度とは別に、最低安全高度の決まりがある。

場所 FAA・TCの最低安全高度(飛行機)
市街地・人の集まる場所の上空 水平2,000ft以内の最も高い障害物から1,000ft上
それ以外 FAA:地表から500ft(人の少ない地域では、人・船・車・建物から500ft)
TC:人・船・車・建物から500ft

14 CFR §91.119、CARs 602.14より。離着陸時などの例外がある。

最低安全高度は「これより下を飛んではいけない」という下限の決まりだ。巡航高度は「水平に巡航するなら、この高さを選ぶ」という選び方の決まりだ。目的が違う2つのルールを、1つの「+500」で混ぜてはいけない。

高度を決める順番

01 チャートで、ルート上の最も高い地形と障害物を確認する(MSL)
02 風と偏差を入れて、磁方位のトラックを出す。東向きか西向きかを決める
03 その向きのOdd+500、またはEven+500の中から、地形と障害物に十分な余裕がある高度を選ぶ
04 その高度が、空域の上限・下限や雲との距離の条件に収まるかを確かめる

2,000ftの山がある例で当てはめると、こうなる。

進む方向 選べる高度の例 山頂との差
東向き(Odd+500) 3,500ft 1,500ft
西向き(Even+500) 4,500ft 2,500ft

数字は説明のための作例。実際に選べる高度は、空域、雲、機体の性能によって変わる。

同じ山でも、向きが変われば選ぶ高度も変わる。先に向きを決め、その中から山を十分に越えられる高度を選ぶ。この順番を守れば、「山+500」に引っ張られることはない。

オーラルでは、こう聞かれる

実際にオーラルでは、「なぜ山は2,000ftなのに、あなたのEnrouteでは4,500ftで出したのか、根拠を教えてくれないか?」などと聞かれる。

The highest terrain is 2,000 feet. Why did you plan 4,500 feet for your en route altitude?

ここで、最低安全高度と巡航高度の両方のルールをしっかり理解していなければ、答えることができない。

英語の例文

My magnetic course is westbound, so I’m going to cruise at 4,500 feet. That gives me 2,500 feet above the highest terrain on the route.

磁方位のコースは西向きなので、4,500ftで巡航する。ルート上の最も高い地形から2,500ftの余裕がある。

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出典:14 CFR §91.119/CARs 602.14

まとめ|高度の数字には、必ず根拠がある

VFRの巡航高度について、押さえておきたいことは次の3つだ。

01

東はOdd、西はEven、VFRはそこに+500

地上3,000ftを超えて水平に巡航するときに適用される。見るのは千の位。ICAO・FAA・TCで、中心の考え方は共通している。

02

基準は、風と偏差を入れたあとの磁方位のトラック

ヘディングやチャートの真方位で決めると、境目の近くでOddとEvenを取り違える。カナダの北部国内空域は真方位。

03

「山+500」と「巡航高度の+500」は別物

最低安全高度は下限の決まり、巡航高度は選び方の決まり。先に向きを決め、その中から地形を十分に越えられる高度を選ぶ。

オーラルで聞かれているのは、高度の数字そのものではない。その数字を選んだ根拠を、規則と向きと地形から説明できるかだ。3,500ftでも4,500ftでも、理由を英語で言えて初めて答えになる。

POINT

巡航高度のルールは、管制に頼らなくても、全員が同じ決まりで飛ぶことで安全にすれ違うための仕組みだ。IFRへ進んでも、エアラインへ進んでも、この基本の決まりをそろえるという考え方は変わらない。

よくある質問

VFRの巡航高度のルールとは何か?

+

地上から3,000ftを超えて水平に巡航するVFRの機体は、進む方向で高度を選ぶ。磁方位のトラックが000°〜179°なら奇数の千ftに500ftを足した高度(3,500ft、5,500ftなど)、180°〜359°なら偶数の千ftに500ftを足した高度(4,500ft、6,500ftなど)で飛ぶ。

OddとEvenの覚え方はあるか?

+

広く使われているのが「East is Odd, West is Even」だ。東向きは奇数、西向きは偶数。VFRならそこに+500ftを足す。見るのは千の位だけで、500はVFRであることを表す印にすぎない。

なぜVFRは+500ftなのか?

+

IFRは千ちょうどの高度を使うため、+500ftによってVFRの機体はIFRの高度の間に入る。さらにOddとEvenで、反対向きに飛ぶ機体の高さもずれる。管制から高度を指示されていないときでも、全員が同じ決まりで高度を選ぶことで、安全にすれ違えるようにする考え方だ。

東向きか西向きかは、ヘディングで決めるのか?

+

ヘディングではなく、風と偏差を入れたあとの磁方位のトラックで決める。チャートで測った真方位のまま決めると、180°や360°の境目の近くでOddとEvenを取り違えることがある。なお、カナダの北部国内空域では真方位を基準にする。

ルート上に2,000ftの山がある場合、2,500ftで飛べばよいのか?

+

2,500ftは巡航高度の表にない高度で、山頂をわずか500ftで越えることにもなる。障害物からの最低安全高度と、巡航高度のルールは別物だ。先に磁方位のトラックで向きを決め、東向きなら3,500ft、西向きなら4,500ftのように、その向きの高度の中から地形を十分に越えられる高度を選ぶ。

ICAO・FAA・TCで、巡航高度のルールは違うのか?

+

地上3,000ftを超えたら、東は奇数、西は偶数に+500ftという中心の考え方は共通している。違いが出るのは、表の上限や方位の基準の扱いだ。FAAは18,000ft MSL未満に適用し、TCは北部国内空域で真方位を使う。細かい扱いは、訓練する国の規程で確認すること。

オーラル対策|巡航高度の説明例

実際のオーラル試験を想定し、英語での想定問答を確認しておこう。

Q1 What altitude are you going to fly, and why?
クロカンの計画で必ず聞かれる質問だ。高度と、その根拠を続けて述べる。 I’m going to cruise at 5,500 feet. My magnetic course is 095 degrees, which is eastbound, so I need an odd thousand plus 500 feet. It also gives me enough clearance above the terrain on the route.
Q2 What are the VFR cruising altitude rules?
ルールそのものを問う基本問答だ。適用条件まで続けて述べる。 When flying VFR in level cruising flight more than 3,000 feet above the ground, on a magnetic course of 000 to 179 degrees, I fly at an odd thousand plus 500 feet. On a course of 180 to 359 degrees, I fly at an even thousand plus 500 feet.
Q3 Why do VFR aircraft add 500 feet?
+500の理由を問う問答だ。IFRとの住み分けと、反対向きの機体との高さの差を述べる。 IFR aircraft use the thousand-foot altitudes, so the extra 500 feet keeps VFR traffic between them. The odd and even rule also separates aircraft flying in opposite directions, even when ATC is not assigning altitudes.
Q4 Do you use your heading to decide the cruising altitude?
ヘディングとトラックの違いを問う問答だ。風と偏差を入れたあとの磁方位で決めることを述べる。 No. I use the magnetic course, not the heading. I apply the variation to the true course from the chart, and I double-check when the course is close to 180 or 360 degrees.
Q5 The highest terrain is 2,000 feet. Why did you plan 4,500 feet for your en route altitude?
最低安全高度と巡航高度の違いを問う問答だ。向きを先に決め、その中から余裕のある高度を選んだことを述べる。 My magnetic course is westbound, so I need an even thousand plus 500 feet. 2,500 feet is not a VFR cruising altitude and would give me only 500 feet above the peak. 4,500 feet meets the cruising altitude rule and gives me 2,500 feet of terrain clearance.
谷口 一貴 / Kazuki Taniguchi

Author

谷口 一貴 / Kazuki Taniguchi

株式会社SMART FLIGHT 代表取締役

元海上自衛隊潜水艦乗り。退官後、アメリカのフライトスクールでパイロットライセンスを取得。カナダ・アメリカを含む世界100校以上のフライトスクールを直接視察し、30回以上のカナダ渡航で航空会社・フライトスクール・空港関係者との信頼ネットワークを構築。訓練生がつまずく要因が英語であり、その後のキャリア・安全性にも英語が直結していることを現場の声から実感。この思想はほぼ全ての航空企業・フライトスクールから強い共感を得ており、パイロットを目指す前に英語によるマインド構築が何より大切であると確信している。

→ プロフィール詳細

Last Updated: 2026.10.24

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