PAPIとは何か|適切な侵入角度を知らせる装置

PAPIとは何か|適切な進入角度を知らせる装置

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精密進入経路指示灯(Precision Approach Path Indicator)

子犬ではない

PAPIとは|着陸の角度を色で教えてくれる灯火

着陸に向けて滑走路へ降りていくとき、その角度が高すぎないか、低すぎないかを、赤と白の光で教えてくれる灯火がある。それがPAPI(Precision Approach Path Indicator)だ。「パピ」と読まれることが多い。

子犬のPuppyではない。

日本語では「精密進入経路指示灯」と訳されることがあり、国土交通省の資料では「進入角指示灯」と書かれている。呼び方は違っても、指しているものは同じだ。

滑走路の横に灯火が並び、見えている赤と白の数で、自分が正しい角度で降りているかがわかる。夜でも昼でも、離れた位置から角度を確かめられるので、訓練生にとって心強い味方になる。

ただし、PAPIはいつでも使えるとは限らない。筆者が訓練していたカリフォルニアのチノ空港では、ATISで「PAPIが使えない」と流れるのをよく聞いた。PAPIのような進入を助ける設備は、点検や工事のために一時的に使えなくなることがある。

この記事では、PAPIの見え方、英語での言い方、そしてPAPIを過信しないための注意点までを扱う。

PAPIの仕組みと設置場所

滑走路の横に、4つの灯火が並ぶ

PAPIは、滑走路の横に4つの灯火が横一列に並んだものだ。一般に、滑走路の左側、着陸を始める端(Threshold)から少し先に置かれている。右側に置かれている空港もあるので、どちら側にあるかは事前に確認しておく。

滑走路の横に設置されたPAPIの灯火
PAPIの灯火を近くで見ると、このような箱型をしている。形やランプの数など、種類は様々である。

見る角度で、白にも赤にも見える

1つ1つの灯火は、ある角度より上から見ると白、下から見ると赤に見えるように作られている。そして、4つの灯火は、白と赤が切り替わる角度が少しずつずらして設置されている。

そのため、高いところから見るとすべて白、低くなるにつれて赤が1つずつ増え、低すぎるとすべて赤になる。見えている赤と白の数が、そのまま自分の高さの目安になるというわけだ。

一般的な進入の角度は3度で、赤2つ・白2つに見えるとき、その角度に乗っていることになる。具体的な見え方は、次のセクションの図で説明する。

POINT

アメリカ(FAA)のAIMでは、PAPIの灯火は昼間でおよそ5マイル、夜間では最大20マイル先から見えるとされている。夜のほうが、遠くから見つけやすい。

ちなみに、筆者が訓練していたチノ空港では、現在の公開情報によると、すべての滑走路に4灯のPAPIが左側に設置されている。

※進入の角度や設置場所は、空港や滑走路によって異なる。訓練する空港の情報で確認するように。

PAPIの見え方|赤と白の数で高さを読む

PAPIの見え方は、次の5つのパターンで覚える。滑走路の左側に設置されている場合、低くなるにつれて、滑走路に近い側の灯火から赤に変わっていく。

PAPIの見え方の図。白4つは高すぎる、白3つ赤1つは少し高い、白2つ赤2つは正しい角度、白1つ赤3つは少し低い、赤4つは低すぎる
見え方 英語 意味
白4つHigh高すぎる
白3つ・赤1つSlightly High少し高い
白2つ・赤2つOn Glide Path正しい角度
白1つ・赤3つSlightly Low少し低い
赤4つLow低すぎる

注意したいのは、赤4つ(Low)だ。高すぎる場合は、降下の角度を深めれば修正できる余地がある。しかし低すぎる場合は、滑走路の手前にある地面や障害物に近づいていることになる。赤が増えてきたら、早めに修正する。

英語圏でよく言われる覚え方

英語圏では、PAPIの見え方を韻を踏んだ短い言い回しで覚える方法がよく紹介されている。

White on white, check your height.
白ばかりなら、高さを確かめろ(高すぎる)

Red on white, you’re all right.
赤と白なら、大丈夫(正しい角度)

Red on red, you’re dead.
赤ばかりなら、危ない(低すぎる)

POINT

「赤2つ・白2つ」は、あくまで角度の目安だ。PAPIの見え方が、どんな機体でもぴったり合うとは限らない。その理由は、次のセクションで説明する。

PAPIを過信しないために

PAPIは便利な灯火だが、いつでも、どんな機体にも、そのまま当てはまるわけではない。訓練生が知っておきたい注意点を4つ挙げる。

01 機体によって、見え方がぴったり合うとは限らない

PAPIは、パイロットの目の高さを基準にして設置されている。ところが、目の高さと車輪の高さの差は、機体によって大きく違う。大きな旅客機と訓練で使う小型機では、同じ角度で降りていても、見え方が変わることがある。

そのため、「赤2つ・白2つ」が、どの機体でも100%正しい角度を示すとは限らない。PAPIは目安として使い、POHや教官の指示に従う。

02 使える範囲が決まっている

アメリカ(FAA)のAIMでは、PAPIの進入経路が障害物から安全な間隔を保てるのは、一般に滑走路の延長線から左右10度以内、滑走路の端から4マイルまでとされている。また、PAPIを使った降下は、機体が滑走路にまっすぐ合ってから始めるように書かれている。

滑走路に対して斜めから近づいているときに、PAPIの色だけを見て降り始めるのは危ない。左右の位置は、滑走路そのものや滑走路の灯火で合わせる。

03 接地の直前は、数に囚われ過ぎない

PAPIが役に立つのは、進入の途中で角度を確かめるときだ。接地の直前になれば、赤と白が2つずつか、赤が3つかは、もう関係なくなる。最後は滑走路そのものを見て着陸する。PAPIの見え方に囚われ過ぎないようにしたい。

04 点検や工事で、使えないことがある

導入で書いたとおり、PAPIのような進入を助ける設備は、点検や工事のために一時的に使えなくなることがある。その情報は、ATISやNOTAMで流れる。

Runway two six left PAPI out of service.

※英文は作例。

いつも使えると思い込まず、飛ぶ前に必ずATISで確認するようにしたい。

RELATED ARTICLE ATISの聞き方 →

※訓練する空港によっては、「滑走路から何マイル手前から、PAPIの見え方を参考にする」といったローカルルールがある。訓練する空港の決まりと、教官の指示を事前に確認するように。

PAPIの英語|ATISと機内での言い方

基本の単語

英語 意味
PAPI(Precision Approach Path Indicator)進入角指示灯
Glide path進入の経路(降りていく角度の線)
On glide path正しい角度に乗っている
Slightly high/Slightly low少し高い/少し低い
Threshold滑走路の着陸を始める端
Out of service(設備が)使えない

ATISで流れる言い方

PAPIが使えないときは、ATISの中で、使っている滑走路やほかの注意事項と一緒に流れる。滑走路の番号とセットで聞き取ることが大切だ。

Landing and departing runway two six right. Runway two six left PAPI out of service.

どの滑走路のPAPIが使えないのかを聞き逃すと、使えると思って進入してしまうことになる。平行滑走路がある空港では、右(Right)か左(Left)かまで、しっかり聞き取る。

機内での言い方

進入中に、教官とPAPIの見え方を確かめ合うときは、見えている色の数をそのまま言うことが多い。

Two whites, two reds. On glide path.

Three reds. We’re slightly low.

All white. We’re too high.

POINT

色の数(Two reds, two whites)と、その意味(On glide path)をセットで言えるようにしておく。オーラルで「PAPIで少し低いとき、どう見えるか」と聞かれても、そのまま英語で答えられる。

※英文はすべて作例。ATISの言い方は国や空港によって異なるので、訓練する空港で実際の放送を聞いて慣れておくように。

まとめ

01

PAPIは、進入の角度が高すぎないか、低すぎないかを、赤と白の光の数で教えてくれる灯火。

02

4つの灯火が滑走路の横に並び、一般には左側に置かれている。設置場所は空港ごとに確認する。

03

白4つは高すぎる、赤2つ・白2つは正しい角度、赤4つは低すぎる。赤が増えてきたら、早めに修正する。

04

見え方は機体によってぴったり合うとは限らず、使える範囲も決まっている。接地の直前は、数に囚われ過ぎない。

05

点検や工事で使えないことがある。飛ぶ前に必ずATISで確認する。

PAPIは、正しく使えば進入の強い味方になる。ただし、色の数を覚えるだけでなく、なぜその色に見えるのか、どんなときに当てにできないのかまで理解しておくことが大切だ。灯火の見え方を英語で言えるようにしておけば、教官とのやり取りでも、オーラルでも困らない。

よくある質問

PAPIとは何か?

+

Precision Approach Path Indicatorの略で、進入の角度が高すぎないか、低すぎないかを、赤と白の光の数で教えてくれる灯火だ。日本語では精密進入経路指示灯と訳されることがあり、国土交通省の資料では進入角指示灯と書かれている。

PAPIで正しい角度のときは、どう見えるのか?

+

赤2つ・白2つに見える。白が増えるほど高く、赤が増えるほど低い。白4つは高すぎる、赤4つは低すぎる状態だ。英語圏では「Red on white, you’re all right」という覚え方がよく紹介されている。

PAPIは滑走路のどこに設置されているのか?

+

4つの灯火が滑走路の横に横一列に並び、一般には滑走路の左側、着陸を始める端から少し先に置かれている。右側に置かれている空港もあるので、設置場所は事前に確認する。

赤2つ・白2つなら、どの機体でも正しい角度なのか?

+

そうとは限らない。PAPIはパイロットの目の高さを基準に設置されていて、目の高さと車輪の高さの差は機体によって大きく違う。そのため、見え方がぴったり合うとは限らない。PAPIは目安として使い、POHや教官の指示に従う。

PAPIはいつでも使えるのか?

+

点検や工事のために、一時的に使えなくなることがある。その情報はATISやNOTAMで流れるので、飛ぶ前に必ずATISで確認する。平行滑走路がある空港では、どちらの滑走路のPAPIが使えないのかまで聞き取る。

接地の直前まで、PAPIを見続けるべきか?

+

PAPIが役に立つのは、進入の途中で角度を確かめるときだ。接地の直前になれば、赤と白が2つずつか、赤が3つかは関係なくなる。最後は滑走路そのものを見て着陸し、PAPIの見え方に囚われ過ぎないようにする。

オーラル対策|PAPIの説明例

実際のオーラル試験を想定し、英語での想定問答を確認しておこう。

Q1 What is a PAPI?
PAPIとは何かを問う基本問答だ。正式名称と、何を教えてくれる灯火かを述べる。 PAPI stands for Precision Approach Path Indicator. It is a set of four lights beside the runway that shows whether the aircraft is high, low, or on the correct glide path by the number of red and white lights.
Q2 What does the PAPI show when you are on the glide path?
正しい角度のときの見え方を問う問答だ。色の数で答える。 Two red lights and two white lights. If I see more white lights, I am high. If I see more red lights, I am low.
Q3 You see three red lights and one white light. What does that mean, and what do you do?
見え方から状況を判断し、修正まで答える問答だ。少し低いことと、早めに修正することを述べる。 It means I am slightly low. I correct early to get back on the glide path, because being low brings me closer to the ground and obstacles before the runway.
Q4 When should you start descending using the PAPI?
PAPIを使い始めるタイミングを問う問答だ。滑走路にまっすぐ合ってからであることを述べる。 I should not start the descent using the PAPI until the aircraft is aligned with the runway. Lateral guidance comes from the runway or the runway lights.
Q5 How do you know if the PAPI is out of service?
設備が使えないことの確認方法を問う問答だ。ATISとNOTAMを挙げる。 I check the ATIS and the NOTAMs before the flight. If the PAPI is out of service, it is usually announced on the ATIS.

※英文はすべて作例。規定の細かい内容は、訓練する国の規程で確認するように。

谷口 一貴 / Kazuki Taniguchi

Author

谷口 一貴 / Kazuki Taniguchi

株式会社SMART FLIGHT 代表取締役

元海上自衛隊潜水艦乗り。退官後、アメリカのフライトスクールでパイロットライセンスを取得。カナダ・アメリカを含む世界100校以上のフライトスクールを直接視察し、30回以上のカナダ渡航で航空会社・フライトスクール・空港関係者との信頼ネットワークを構築。訓練生がつまずく要因が英語であり、その後のキャリア・安全性にも英語が直結していることを現場の声から実感。この思想はほぼ全ての航空企業・フライトスクールから強い共感を得ており、パイロットを目指す前に英語によるマインド構築が何より大切であると確信している。

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Last Updated: 2026.11.03

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