Rotating Beaconとは|空港の場所を知らせる灯台
夜の空から空港を探すとき、目印になる設備がある。それがRotating Beaconだ。管制塔の上や、空港の中の高い場所に置かれ、くるくると回りながら、または点滅しながら光を放つ。
ICAOの用語では Aerodrome beacon と呼ばれ、国土交通省の資料では「飛行場灯台」と書かれている。
言わば、灯台である。船舶が航行するときも、座礁しないように、航路を示す補助として、安全対策として灯台がある。空港にも、その役割の一つとしてRotating Beaconがある。
光の色や光り方には決まりがあり、それを見れば、そこが陸上の空港なのか、水上の空港なのか、軍の飛行場なのかがわかる。ただし、その決まりは国によって少しずつ違う。
この記事では、細かい仕様には深入りせず、「そういう設備がある」ということと、国ごとの違い、そして訓練生が知っておきたい注意点に絞って紹介する。
国ごとの違いと特徴
Rotating Beaconの色と光り方は、ICAOの基準をもとに、国ごとに決められている。北米で訓練する人が出会いやすいアメリカとカナダを、ICAOと並べてまとめた。
| ICAO | アメリカ(FAA) | カナダ(TC) | |
|---|---|---|---|
| 陸上の空港 | 白だけ、または白と緑が交互 | 白と緑が交互 | 白だけ |
| 水上の空港 | 白だけ、または白と黄が交互 | 白と黄が交互 | 訓練する国の規程で確認 |
| ヘリポート | 訓練する国の規程で確認 | 緑・黄・白 | モールス信号の「H」を白で光らせる |
| 軍の飛行場 | 訓練する国の規程で確認 | 白と緑が交互。緑と緑のあいだに、白が2回すばやく光る | 訓練する国の規程で確認 |
| 光る回数(1分あたり) | 20〜30回 | 24〜30回(ヘリポートは30〜45回) | 20〜30回 |
※ICAOは Annex 14 の内容を紹介した資料、FAAは AIM 2-1-9、TCは Transport Canada の資料を紹介した解説をもとにまとめた。細かい仕様は国や空港によって異なるので、訓練する国の規程で確認するように。
アメリカとカナダで、色が違う
表で一番目を引くのは、陸上の空港の色だ。アメリカでは白と緑が交互に光るが、カナダでは白だけが光る。ICAOの基準は、どちらの形も認めている。
アメリカで夜間飛行を覚えた人がカナダで飛ぶと、「緑が見えない」と戸惑うかもしれない。逆もまた同じだ。訓練する国の灯台がどう光るのかは、夜間飛行の前に一度確かめておきたい。
Rotating Beaconは、見つけにくいこともある
空港の場所を知らせる灯台だが、夜の空から、いつでもすぐに見つけられるとは限らない。
筆者がアメリカで訓練していた頃、カリフォルニアの Twentynine Palms Airport のような、周りに民家もほとんどない空港に夜に降りることがあった。空港には灯台があったはずだが、遠くからだと、まばらに走る車や民家の明かりくらいにしか見えなかった。空港の手前で無線のマイクを3回押し、滑走路の灯火が順番に点いていったとき、めちゃくちゃ安心した記憶がある。
街の明かりにまぎれる
訓練で使う空港の周りには、小さな街や住宅街があることが多い。並木の向こうを走る車のヘッドライトは、木の間から見え隠れして、明滅しているように見えることがある。住宅街の明かりも、上空からだと点々と光って見える。
灯台も、遠くから見ればただの小さな光の点だ。そのため、こうした街の明かりと、一見見分けがつかないことがある。光っているものを見つけても、すぐに「灯台だ」と決めつけず、光り方や空港の位置関係と合わせて確かめる。
POINT
灯台が見つからないからといって、空港がないわけではない。見つけにくいことがあると最初から知っておけば、慌てずに次の手を打てる。その「次の手」を、次のセクションで説明する。
※無線のマイクを押して滑走路の灯火を点ける仕組み(Pilot Controlled Lighting)は、押す回数や周波数が空港ごとに決まっている。訓練する空港の情報で確認するように。
灯台を探すことに注力しない
あくまで目印の一つ
Rotating Beaconは、空港を見つけるための目印の一つにすぎない。遠くから確認できれば十分で、見つけることそのものに集中してはいけない。
灯台を探すことに気を取られると、外の見張りや計器の確認、ほかの機体への注意がおろそかになりやすい。特に、暗くなり始める夕方から日没にかけては危ない。空の明るさと地上の暗さが入り混じり、灯台も街の明かりも、他機の灯火も見分けにくくなる時間帯だ。
見つけにくいときは、ためらわず管制に頼る
空港が見つけにくいときは、ためらわずに管制に頼る。管制に自機の位置を確認してもらうか、自分の位置を通報して誘導してもらえばいい。一人で探し続けるより、ずっと安全だ。
Golf Alpha Bravo Charlie, unable to locate the airport, request vectors.
※英文は作例。タワーのある空港ではタワーに、無人の空港では周辺を担当するアプローチやセンターに頼むことになる。どの管制に頼めるかは空港や空域によって異なるので、訓練する空域で事前に確認しておくように。
こういうときこそ、基礎の英語力が生きる
いざというときに、管制の専門的なフレーズやセリフが、とっさに出てこないこともある。そんなときは、日常会話の英語で交信を試み、安全第一で着陸することが大切だ。決まった言い方にこだわって黙ってしまうより、伝わる言葉で状況を伝えるほうが、ずっと安全である。
たとえば、上の決まった言い方が出てこなくても、こう言えば伝わる。
I can’t find the airport. I think I’m about ten miles south of the field. Can you help me?
※英文は作例。
POINT
ICAOの基準(Annex 10)でも、決まった言い方で伝えられないときは、平易な言葉(Plain language)を使うとされている。そしてICAOの航空英語能力の要件は、決まった言い方だけでなく、平易な言葉での交信にも当てはまる(Annex 1)。決まり文句を覚えるだけでは足りない理由が、ここにある。
知っておきたいこと
01 昼間に点いているときの意味(アメリカの場合)
Rotating Beaconは、基本的に夜に点く灯台だ。ところがアメリカでは、昼間に点いていることがある。FAAのAIMによると、管制圏などの地表の空域(クラスB・C・D・E)で昼間に灯台が点いているときは、地上の視程が3マイル未満か、雲の高さが1,000ft未満であることが多いとされている。
ただし、昼間に点ける義務はなく、自動で点いたり消えたりする灯台も多い。AIMでも、灯台が点いているかどうかだけで天候を判断してはいけないとされている。天候は、ATISやMETARなどで必ず確認する。
02 機体の「Beacon」とは別物
航空機にも「Beacon」と呼ばれる灯火がある。機体の上や下に付いている、赤く点滅する衝突防止灯のことだ。同じ Beacon という言葉でも、空港の灯台とはまったく別のものを指す。
チェックリストで「Beacon — ON」と出てきたら、それは機体の衝突防止灯のことだ。空港の灯台の話をするときは、Rotating Beacon や Airport beacon と言い分けると、聞き間違いを防げる。
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Rotating Beaconは、夜に空港の場所を知らせる空の灯台だ。
色と光り方は国によって違う。陸上の空港では、アメリカは白と緑、カナダは白だけが光る。
遠くからだと、車や街の明かりにまぎれて見つけにくいことがある。
灯台はあくまで目印の一つ。探すことに注力せず、見つけにくいときはためらわず管制に頼る。決まった言い方が出なければ、日常会話の英語でいい。
機体の「Beacon」(赤い衝突防止灯)とは別物。言い分けて、聞き間違いを防ぐ。
細かい仕様をすべて覚える必要はない。大切なのは、「そういう設備がある」と知っておくことだ。知っていれば、夜の空で灯台を目印の一つとして使えるし、見つからなくても慌てずに済む。そして、いざというときに助けを求められる英語力こそが、最後に自分を守ってくれる。
現場から一言
空港へ行けば、このような設備が見られる。飛行機に乗るときも、少し外に気を向ければ、様々な情報が溢れている。
何気ない日常からでも学べることは実に多いが、何故か皆が足並みをそろえて「小難しいこと」から勉強しようとする。そして挫折する。その原因は「根本的な興味」が薄いからである。
雑誌を見て憧れて、調べて、理想を掲げることは否定もしなければ、立派な一歩ではある。しかし、空港オペレーション、運航管理、整備、運航などは、小さなこと一つ一つの積み重ねであることを忘れてはいけない。
これは、パイロットを目指すことでも同じことが言える。今日始めて、来年就職なんかできないのだ。小さな成功体験を、とにかく積み上げるしかない。
よくある質問
Rotating Beaconとは何か?
夜の空からパイロットに空港の場所を知らせる灯台だ。管制塔の上や空港の中の高い場所に置かれ、回りながら、または点滅しながら光を放つ。ICAOの用語では Aerodrome beacon と呼ばれ、国土交通省の資料では「飛行場灯台」と書かれている。
Rotating Beaconの色は、国によって違うのか?
違う。陸上の空港では、アメリカは白と緑が交互に光り、カナダは白だけが光る。ICAOの基準は、白だけの形と、白と緑が交互の形の両方を認めている。訓練する国の灯台がどう光るのかは、夜間飛行の前に確かめておきたい。
夜にRotating Beaconが見つけにくいのはなぜか?
遠くから見れば、灯台もただの小さな光の点だからだ。空港の周りに街や住宅街があると、並木の向こうを走る車のヘッドライトが明滅して見えたり、住宅街の明かりが点々と光って見えたりして、一見見分けがつかないことがある。
空港が見つからないときは、どうすればよいか?
灯台を探すことに注力せず、ためらわずに管制に頼る。自機の位置を確認してもらうか、自分の位置を通報して誘導してもらう。管制の決まった言い方が出てこなければ、日常会話の英語で交信を試み、安全第一で着陸する。
昼間にRotating Beaconが点いているのは、なぜか?
アメリカの場合、地表の空域で昼間に灯台が点いているときは、地上の視程が3マイル未満か、雲の高さが1,000ft未満であることが多いとされている。ただし、昼間に点ける義務はなく、自動で点く灯台も多いので、灯台だけで天候を判断してはいけない。
空港のRotating Beaconと、機体のBeaconは同じものか?
別物だ。機体の Beacon は、機体の上や下に付いている赤く点滅する衝突防止灯のことである。チェックリストで「Beacon — ON」と出てきたら、機体の衝突防止灯を指す。空港の灯台は、Rotating Beacon や Airport beacon と言い分けると、聞き間違いを防げる。
オーラル対策|Rotating Beaconの説明例
実際のオーラル試験を想定し、英語での想定問答を確認しておこう。
Q1 What is a rotating beacon?
Q2 What colors does the beacon at a civilian land airport show in the United States?
Q3 How can you tell a military airport beacon from a civilian one?
Q4 What might it mean if the airport beacon is on during the day?
Q5 What would you do if you could not find the airport at night?
※英文はすべて作例。規定の細かい内容は、訓練する国の規程で確認するように。
Author
谷口 一貴 / Kazuki Taniguchi
株式会社SMART FLIGHT 代表取締役
元海上自衛隊潜水艦乗り。退官後、アメリカのフライトスクールでパイロットライセンスを取得。カナダ・アメリカを含む世界100校以上のフライトスクールを直接視察し、30回以上のカナダ渡航で航空会社・フライトスクール・空港関係者との信頼ネットワークを構築。訓練生がつまずく要因が英語であり、その後のキャリア・安全性にも英語が直結していることを現場の声から実感。この思想はほぼ全ての航空企業・フライトスクールから強い共感を得ており、パイロットを目指す前に英語によるマインド構築が何より大切であると確信している。
→ プロフィール詳細Last Updated: 2026.11.04